小森収の「傑作書評」
小森収の「傑作書評」を読み直す(序)
早川書房の「ミステリマガジン」という雑誌には,毎月,出版された翻訳ミステリ作品の書評が掲載されている。
各書評家に一人当たり月に4作品が割り当てられており,それぞれの書評を書く人がかなり自由に意見を書いているようで,作品を酷評している場合も少なくない。
私の場合,普通は,自分が読む予定の作品について先入観を持ちたくはないので,特に興味がある作品が掲載されているときはなるべく書評を読まないようにしているのだが,気になる書評があるときも例外的に存在する。
1996年から1997年にかけて,小森収氏がミステリマガジンの書評を担当していたことがある。
小森氏は,1996年4月号で
翻訳ミステリとは,優秀な編集者・翻訳家が,まず本国で活字にする価値ありと判断されたものを,さらにふるいにかけ,吟味し,腕によりをかけて翻訳したものであるから,愚本駄本の類であるはずがなく,翻訳ミステリは傑作ばかりであるはずであると歌い上げ,その後,全ての作品について,それらがいかに傑作であるかを語る書評を書いていた。
この小森氏の「傑作書評」は舌鋒鋭い見事な書評であり,当時,個人的には毎回かなり楽しみだった。
私自身のミステリに関する読書は基本的に古典中心であるので,当時,小森氏の書評で紹介された本を読むことはあまりなかった。
しかし,厳しい選択眼を持つ小森氏が推薦するミステリを読んでみるのは大変価値のあることであるように思う。
また,小森氏のこのユニークな書評から既に10年が経過したのであるから,当時出版された各作品が時代を経てどのような状況になっているのか,ひとつひとつ確認してみたいという気持ちにもなった。
そこで,ミステリマガジン1996年4月号分から一月分ごとに「傑作書評」を振り返って整理してみることにする。
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