刑事コロンボ「二枚のドガの絵」
DVDで刑事コロンボ「二枚のドガの絵」(1971)を見た。
前に感想を書いた「ホリスター将軍のコレクション」に続く,刑事コロンボ第5作から第8作鑑賞計画の第2回である。
この作品での犯人は,ロス・マーティンが演じる美術評論家デイル・キングストンである。
彼は,絵画の収集家であり富豪の伯父を殺害する。
そして,伯父のコレクションの2枚のドガの絵を盗み出し,これを用いたトリックを仕掛ける。
この作品は,なんといってもそのラストの切れ味が凄まじい。
犯人であるデイル・キングストンは,コロンボの質問に対し,あまりにできすぎた答えばかり返すため,かなり早い段階から疑いを招く。
コロンボは,デイルに対し
あんた,不思議な人ですなぁと言う。
どんなこと質問しても,まるで役所のお偉方みたいに適切な答えがはね返ってくる
普通はなかなかこうはいかないもんです
確かにデイルには,準備をしすぎたしろうとにありがちな不自然さがあり,コロンボがこの段階からデイルを疑っているのは明らかである。
ここまではこの作品も並みのできであると思うのだが,そこからコロンボが仕掛けるわなと,それが最後に見事に効果を発揮する場面が出色なのである。
刑事コロンボの物語は,一般的に言うと,コロンボがある程度の証拠を示した段階で犯人が罪を認めて自白してしまうものが少なくない。
犯人も,一定の社会的地位を持っている者が多いためか,最後までじたばたして見苦しい抵抗をするということはあまりないのである。
ところが,この「二枚のドガの絵」では,デイルがしどろもどろになりながら,最後まで弁解に努める。
しかし,言い訳をするデイルに対し,どう弁解しても言い逃れのできない客観的な証拠をコロンボが示す。
その客観的な証拠の切り口は新鮮で,これはおそらく大多数の視聴者をも驚かせるに足りる証拠になっている。
弁解を重ねるデイルもほどなく絶句してしまい,その瞬間を捉えて唐突に物語が終わる。
犯人がやや間抜けであるとはいえ,犯人に突き付ける証拠の意外性と終幕の見事さがこの作品では際立っている。
そこがこの「二枚のドガの絵」の魅力であり,この作品は,ミステリ的な魅力という点では,おそらく刑事コロンボのシリーズの中でも屈指の名作だと言ってよいと思う。
刑事コロンボのファンならずとも,この作品は一見の価値があるはずだと思う。

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